物流業事例

製造技術とITの進化によって、製造現場でのコスト低減とスピード化は次第に限界に近づきつつあります。それに比べ物流の分野は企業のコストセンターとして改善の余地を大いに持ちつつ今日まで営まれてきました。

BtoBビジネスのみならずBtoCビジネスでは物流部門で発生するコストとスピード要求は高まるばかりであり、更に昨今は環境問題への対応や製品履歴管理(トレーサビリティ)の実現など、企業にとって社会的に要求される事項が増えています。これらは要求されたモノを要求された通りに保管し、要求された時期に無事に届けるという基本的な物流品質を達成した上での価値として問われています。

ここでご紹介する物流システムの事例は、人的技能と経験に頼っていた物流倉庫の業務を洗い直し、多彩な物流機器を当社が開発したシステムで制御させ、物流品質を保ったままで要員の減少と外注化を達成しました。

当社が手がけた物流倉庫としては比較的規模が大きく、したがって稼働まで年間単位での時間を必要としました。ここで当社が大切にしたことは以下の通りです。

  • 将来の物流規模の増加に対応できるための拡張性・冗長性の確保
  • 熟練を必要としない作業性の確保
  • 現存の物流業務の停滞を出来るだけ少なくする導入計画

ひと口に物流業務と言っても、扱っている品目や要求スピード、また得られる労働力の量や外部システムとの結合など、どれとつとして同一のシステムは存在しないと私どもは考えます。

しかし共通している事項である「モノを保管し、運ぶ」業務を追求すると、お客様固有の解決点が見えてきます。ご紹介する事例のなかには、お客様にも活用できる要素があると考え、私どもは今後も物流業務について導入実績を基に提案をすすめてまいります。

事例からみたビジネス・ドメイン

自動倉庫制御システムの内容

物流機能を物品の流れに沿って明確に分類し、各エリアに必要な機材を配置しお客様のホストシステムからの入・出荷指示に基づき機材へ入庫・出庫指示を出し、実績データを収集します。

導入は各エリアを順次おこない、2年をかけてリストピッキングと伝票手入力を廃止しました。現場の定型業務は大きく変わりましたが、私どもは物流倉庫を「荷主から見れば(配送)指示を出すとその通りトラックに積むブラックボックス」と位置付け、これをお客様に理解いただきながらシステム化を推進しました。システム化にあたっては制御分野の機器制御技術を駆使し、あわせて耐障害性の高いネットワーク機器や無線機器の選定と構築の実績が役立ちました。

この種のシステムは業務の流れが大きく変わりますので、システム化だけでは効果ある稼働が実現できません。お客様の成功させる熱意と理解が不可欠であると私どもは考えます。