Vol. 1  総論/概論/婦人科

総論

椎名義雄

細胞診断学は腫瘍の良・悪性を判断する方法の一つとして、急速な発展を遂げ、近年では病理検査部門の一角を担う重要な診断法として位置づけられています。このような発展の背景には細胞採取技術の発展と細胞形態学としての学問的発展があります。一方、予防医学においても検診事業による貢献は大きいものとなっています。子宮癌検診は早期癌や前癌性病変の発見に貢献し、子宮癌による死亡率の低下に多大なる影響を与え、役割を最大限に発揮しています。
概論 腫瘍病理学 山本 寛 細胞診断に必要な諸臓器の変化を低倍率から高倍率まで撮影し、より明確に表現しました。また、細胞診断でよく見かける良性・悪性腫瘍の通常型を数多く収録し、境界領域の病変は対比しやすいように明記しました。
各種染色法

大河戸光章

染色は細胞診検査において日常行われていることですが、染色原理や意義をあまり知らずに機械的に行っている人も多いのではないでしょうか。また自動染色機の普及によって、最近では満足に染色できる検査士が少なくなってきていると囁かれています。この各種染色法では、できるだけ染色原理などを理解しやすいように図解にしました。
スクリーニング法

郡 秀一

細胞診検査において、細胞の一般的な観察のしかた、悪性細胞と良性細胞の違いを述べてあります。また、繰り返し出てくるような項目もありますが、重要なところは復習を意識して繰り返しております。
婦人科

椎名義雄
(前出)

石井保吉

堀内文男

子宮の正常細胞・炎症:椎名義雄
婦人科領域における正常細胞、炎症性疾患、炎症・反応性変化、ホルモン細胞診について、豊富な画像を用い、鑑別ポイントを理解しやすくまとめています。

子宮内膜:石井保吉
子宮内膜細胞診領域において、「客観性のある判定基準への問いかけ」をテーマに、細胞像を三次元的に顕微鏡下で表現・解説しています。

子宮頸部・卵巣:堀内文男
子宮頸部、卵巣については主に基礎的知識を中心に解説しています。婦人科のみならず、細胞診断学は細胞だけみるのではなく、病変の肉眼的所見を十分観察し、病変と細胞所見をマッチングさせることが重要です。

Vol. 2 呼吸器/消化器

呼吸器

郡 秀一
(前出)

河村憲一

郡 秀一
呼吸器領域は発生する悪性腫瘍の多彩性、転移性肺腫瘍も多く、いろいろな細胞をみることができます。また、細胞の採取の仕方などでも細胞の見え方が変わってきます。このことは呼吸器の細胞診を学ぶ方が一度は通る難関ですが、根気よく読み進めていってください。

河村憲一
基本的な細胞像や組織像、各種染色、検体採取に使用される器具等を、「見て」分かり易いように、多くの写真を掲載しています。 スクリーニングを行うにあたって、新鮮材料と変性の加わった標本では、それぞれ細胞の見え方に特徴があります。同一組織型でも、採取法の違いにより細胞所見がどう異なるのかという点を、是非理解して下さい。

消化器

加藤 拓

川地素崇

加藤 拓
「消化器の細胞診」は体の中で対応する臓器としては実に多く、これらの疾患の基礎的知識は、多臓器への転移巣の推定、術中診断および剖検での対応などにも役立ちます。本編では各臓器の解剖学的な基礎知識として正常の組織・細胞所見、ほぼ全疾患の臨床病理学的分類と臨床所見、細胞所見、組織所見および鑑別ポイントと問題点をできるだけ解りやすく記載し、ふんだんに写真とシェーマを使いました。

川地素崇
専門病院、専門医のいない施設では、膵胆肝の検体をみることは少なく、胆汁の検体が通常みる細胞診と思います。膵胆肝の細胞診はよく観察していると興味のある臓器で、細胞診も多彩像を示すこと、論理的であることで追求すると楽しくなる分野です。

Vol. 3 泌尿器/体腔液

泌尿器

平田哲士

尿路腫瘍は治療法がさまざまであるため、細胞診の精度向上には採取法・集細胞法・塗抹法・染色法を適切に選択し、腫瘍の異型度・組織型をできるだけ判定してゆく必要があります。 本編では細胞像と組織像と対比しやすいように、尿・膀胱洗浄液・フィルター・ステルンハイマー染色(S染色)などの細胞像をなるべく多く使用しました。
体腔液

国実久秋

飯島淳子

国実久秋
本編では原発臓器にはあまり触れず、体腔液細胞診でしばしば遭遇する症例を掲載しました。主に鑑別が難しいとされる腺癌細胞と反応性中皮細胞の見方など、鑑別点に主体を置いています。

飯島淳子
転移性悪性例と反応性中皮の細胞像・鑑別点はもとより、正常・良性細胞や良性疾患についても様々な症例が学習できます。

Vol. 4 甲状腺/乳腺/リンパ

甲状腺 都竹正文 本編では、甲状腺疾患の診断法として数多くある診断法の中で最も有力とされる、穿刺吸引細胞診の対象となる疾患を中心に、疾患の概念・摘出材料の肉眼像・組織像・細胞像について解説してあります。
乳腺 畠山重春 本編は解剖・組織学、穿刺吸引法から塗抹技術までをも含む、乳腺細胞像の基本構成を、穿刺吸引細胞診によって得られた細胞を対象に解説しています。
リンパ 岸本浩次 各組織型を推定する場合、その腫瘍の特徴を理解しなければならないのは言うまでもありません。 本編では、細かな細胞を観察できるGiemsa染色を熟知することが第一と考え、正常リンパ球から悪性リンパ腫まで多くの写真を掲載し、免疫染色などについても経験をもとに詳しく解説しました。

Vol. 5 脳・神経/骨腫瘍/軟部腫瘍

脳・神経 海野みちる 脳・神経系の見方は、病変部が検査材料であるため、第一にすることは、発生部位の確認です。髄膜なのか実質なのかを確認し、実質であれば、診断に重要な鍵を握っている血管を探さなければなりません。それは、星細胞が血管と親密な関係を持っているためです。馴染みの少ない検査材料とは思いますが、機会があれば星細胞と血管の親密な関係の解明に、あなたも挑戦してみませんか?
骨腫瘍 古田則行 肉腫は分化の多様性発生母地の分布の広さ・種類が多いことなどから、病理診断では難しい領域であるとされています。しかし、細胞診の立場からは、個性的な顔をしたものが多く、みていて飽きない面白い領域です。本項では細胞の特徴をとらえやすいように配慮しました。骨のように脳みそを硬くして考えるのではなく、軟らかく考えてみてください。
軟部腫瘍 古田則行
(前出)
肉腫は分化の多様性発生母地の分布の広さ・種類が多いことなどから病理診断では難しい領域であるとされています。しかし、細胞診の立場からは、個性的な顔をしたものが多く、みていて飽きない面白い領域です。しかし、その反面、特に軟部腫瘍において、細胞診は術前診断として重要な立場にあります。